今年5月に北海道獣医師会雑誌「平成27年(2015年) 第59巻 第5号 通巻761号」(以下「北獣会誌」に略)の「私の職場紹介」部分でベッセルを紹介させて頂きました。権威のある雑誌で我社を紹介する事が出来てとても嬉しいです。我社を選んで頂いた北獣会誌様に感謝いたします。
北獣会誌をご覧になられてない方の為、雑誌で掲載された紹介文をHPでも確認できる様にしました。ぜひご覧ください。(北海道獣医師会雑誌「平成27年(2015年) 第59巻 第5号 通巻761号」より引用)
【私の職場紹介(86)】
(有)ベッセル 獣医環境衛生研究所
梅 原 健 治
(石狩支部)
●会社設立:
有限会社ベッセルは2001年3月に設立しました。おかげさまで早15年目を迎えることとなりました。その間JA、乳業工場、食品工場、家畜保健所、NOSAI、農業普及センター、畜産試験所、酪農学園大学、帯広畜産大学、小動物病院そして畜産酪農・肉牛・養豚・養鶏の生産者の方々からたくさんのご支援や応援、ご要望を頂き今日までに至ったこと、この誌面をかりまして御礼申し上げます。
さて、獣医師である私が臨床獣医師としてではなく、環境衛生の会社を立ち上げた経緯について説明します。私は酪農学園大学酪農学科を卒業後1年間大学の教員で教鞭を執らせて頂きました。
その後殺菌剤等を製造している化学会社に勤務しました。化学会社で営業として活動していた頃、道庁からの要請で全道のNOSAI獣医師の先生方に殺菌剤の使用方法について説明をしていました。その時に現場の獣医師の先生方から鋭い質問があり、その都度勉強しましたが、思い切って根本的に獣医学を学びたいとの一心から酪農大学の獣医学部に編入受験しました。35歳で門をたたき40歳で獣医師資格を習得しました。
遅咲きの獣医師です。化学会社勤務中は全国の乳業工場・食品工場を訪問していたこともあり、食の安全に携わり、特に乳・肉での洗浄・消毒の基盤は生産現場からとの意識付を強く感じていました。そこで獣医学を基盤に環境衛生に携わることによって家畜(動物)の健康と食の安全・安心に担うことができ社会貢献することを目的とし、有限会社ベッセルの設立に至りました。
●会社の名前の意義:
衛生概念に常に関わってきましたので生産現場での環境衛生が今後重要になっていくとの思いから獣医環境衛生とし、その研究を通し社会に貢献できるようにとの思いからその英語の頭文字をとってVeterinary Environment Sanitation LaboratoryのVESL(ベッセル)と呼ぶ響きにしました。ベッセルって何?との声もあり獣医環境衛生研究所も明示しました。ベッセルとは英語で大きな船(VESSEL)の意味があり、ロゴにはイルカを込めました。イルカは水先案内で導かれた船は座礁しないといわれ。イルカが飛び出していくアーチ上の7つの帯は世界7海洋を示しその1つ1つに夢から始まって希望、知恵、発想、創造、行動、実効の7つの理念をもって世界に向けて発信するように意を込めました。
●事業所:
事業所は札幌と十勝、道東の3か所あります。札幌の本所はJR新札幌駅、札幌南ICも直ぐ、新千歳空港もJRで30分と利便性は良いところです。研究所十勝は帯広大正町空港線にあり、酪農・畜産現場十勝地区の東西南北の真中に位置する場所にあります。道東はJA道東あさひ上春別支所畜産センター内にあり、中標津・根室地区の中央に位置しています。現在パートを入れ8名で従事しています。
●研究開発テーマ:
・ズノーシス(人畜共通感染症)に係る研究
・食品との係り、微生物要因のハザード(危害要因)の確立
・牛・乳房炎に対する確固たる指針(体細胞削減の試み)
・抗生剤を使用しない乳房炎コントロール方法の模索
・忌避剤の開発
・味・匂い等感覚器による安全性識別基準の科学的再現方法の構築
以下主な事業内容を紹介します
●JA、乳業工場の支援の元、年間760件程現場での乳質改善事業生菌数・耐熱菌数の削減、体細胞削減・環境衛生改善等の調査の依頼を受け現場に入ります。開設当初は女房と2人で全道訪問させてもらいました。特に酪農生産主体の乳業工場、十勝、根室中標津地区の多くのJA様から厚い支援を頂き感謝でした。少しでも生産者の乳質向上に役に立てばとの思いで搾乳立ち合いに多く注ぎました。十勝地区で飛躍的に乳質向上になっていったのも乳業・JAとの一体になった取り組みの結果でした。そこに携わって貢献できたことをうれしく思っています。2003年にJA上春別畜産センターに事業所を開設。JAの皆様に引越しを手伝って頂き、とても有難かったです。この場でお礼申し上げます。2004年に十勝に事業所を開設しました。乳業工場からも支援して頂き実験室を設けることができましたことも感謝です。
●メインの仕事は搾乳立会、拭き取り検査です。これが柱です。獣医業は概ね治療が主体ですが「病気が出ないようにすること」もとても大切です。これがベッセルに託された仕事であると思います。
ヒトも風邪をひいて病院に行き、お医者さんから注射と薬を受け、治ります。あのお医者さん名医だねと思われますが、風邪をひかなければ病院に行かなくて済みます。免疫系もありますが基本は「手を洗いましょう。うがいをしましょう。」です。畜産の場合、うがいや手洗いを家畜に求めるわけにはいきません。
現場では畜舎の環境衛生が大きなファクターであります。そこがベッセルを生かせる道であります。すなわち予防学です。しかし予防学の辛さは結果が直ぐに表れないことです。1年後に死廃率・疾病率を比較して初めてわかります。そんなことやって何になるの・・・から始まります。根拠・データ、信念を持って接することを信条にして仕事をしております。
●会社立ち上げ前に一時道東NOSAIに研修していた時、サルモネラの防除で石灰塗布の仕事が入りました。消毒に従事していた時でしたので先頭きって指名を受けました。当時は生石灰しかなく、火傷しながら熱さとノズルの詰まりで作業が何度も中断しました。石灰塗布は現場ではなかなか思うように進みませんでした。消石灰は水和反応が終了し分離してしまい使用できなく、何とか熱のでない、きめが細かく、付着性の良いものがないかと考案し、現在のドロマイト石灰ホワイトDが生まれました。ドロマイト石灰ホワイトD は熱の発生しない、作業安全性・抗菌性・付着性が高い製品です。おかげさまで今では農水省からも口蹄疫、鳥インフルエンザ対策として推奨して頂いています。昨年養豚PED発生では一農場でワンコンテナ250袋使用して頂きました。使用の便利性・抗菌作用にて多くの農場で使用して頂いております。北海道衛生指導協会からの冊子でもネーム名を出して頂き普及に貢献しています。全国で年間2,000tの使用があります。
一方映画会社からのオファーもあり2009年には映画感染列島に技術指導及び共演させて頂きました。
感染列島
2009年1月17日東宝映画「感染列島」封切制作に携わりました
●ベッセルスプリーダーを考案
ドロマイト石灰対応動力噴霧機です。コンパクトで12m程吐出できます。農水省からベッセルスプリーダー補助事業が口蹄疫発生以降数回ありました。おかげさまで全国600台以上出荷となり道内の自防組合では大半使用して頂いております。
●2003年には酪農現場から乳頭清拭で汚れ落ちの良いものを開発してほしい旨、要請を受けました。当時は雑巾タオルとペーパタオルでの清拭が主流でしたが、ドイツの会社に依頼しオリジナルのタオルを作成してもらいました。その会社はヨーロッパでも屈指の化学会社で一獣医師の発案で作成してもらえることなど全くの無謀でした。しかしこの発案が、世界に貢献できる期待を持てるとトップの品質部長に共感してもらい試作してもらいました。
当初は直ぐにボロボロとなり失敗の連続でした。2年かけ製品化されたのがVESL udder N250(会社名・乳房・企画品番)名となるオリジナル商品となったのです。ベッセルタオルの製品化です。その後乳業工場の品質管理、家保の業績発表にもベッセルタオルの乳頭清拭には極めて優れたものであると発表して頂いたことには感無量でした。おかげさまで発売以来リターンを頂き100万枚を超える乳頭清拭タオルになったことに感謝です。
●2004年にはNOSAIで使用している乳汁採材用スピッツ管の蓋が内キャップのため細菌のコンタミの原因との指摘を受け、外キャップのワンタッチ式を開発しました。ベッセルチューブと命名。道東・道南でのNOSAIでは既に年間20万本程使用されています。
●2009年に抗生物質迅速法を商品企画しました。5分で判定できる簡便なリトマス紙方式です。酪農生産者段階で未然に防げるようになりました。現在では道東地区を始め本州でも使用して頂き、集荷の度に測定して抗生物質混入根絶に尽力を尽くしています。
●口蹄疫発生後、農水省では踏み込み消毒の義務化となりました。北海道では冬は凍ってしまうため水溶液のものは使えませんでした。そこで北海道の冬期間でも凍らない除菌剤を開発しました。
また、一般の消毒薬は色が無色透明で溶液なのか、水なのか、雨なのか不明とのことで除菌剤に着色し更に効果半減すると色が変化するものを商品化しました。ミルクローリー車は農場にも出入りし、乳業工場にも出入りします。ローリーのタイヤの除菌にも使用して頂いています。
●ベッセルジアスイ生成装置
昨今、食の安心・安全に薬剤の動向が注目されてきています。ベッセルとして食添規格の除菌剤を箱もので提供するのではなく、そのものを作成できるよう農場、食品工場での使用勝手が良い生成装置をレンタルで提供しています。ふんだんに使用してもコストが極めて安価でできることがメリットです。既に道内数十台設置しています。第1号を設置した農場は農場HACCP認証農場です。現在もプレディッピング、乳房炎対策、PDD対策、バックフラッシュに役に立てています。
●環境衛生を基盤とする以上、衛生指針・飼養衛生に係ることになります。そこで社員全員が農場HACCP審査員の資格を習得しました。農場への習得に至るまでのコンサルタントを行っています。既に北海道農場HACCP研究会の審査メンバーとして活動し、道内の農場HACCP習得農場に審査に伺っています。
またこれに伴い関係機関との交流を深め、毎年北海道農場HACCP研究会を開催しています。今年は11月4日十勝プラザで13:00から開催決定しています。ぜひ参加下さい。
●ベッセルが従事している実務的な内容を大学の学生に講義をしております。環境衛生の講義を酪農学園大学の獣医の学生に、帯広畜産大学では獣医の公衆衛生の実習で外部講師をしております。
●その他北海道内外のJA、県酪連、畜産協会、行政府、乳業工場、普及センター、各地区の振興会からの衛生指導の講演の依頼があります。
●獣医学会、微生物学会、食品衛生技術発表、専門雑誌からの原稿依頼を受けています。
●委託研究の依頼も受けています。
●基本的に土曜日は休みですが、月初めの土曜は会議の日としています。開催場所は本所が中心ですがときには場所を変え、よい景色の中で会議を行います。十勝紫竹ガーデンでの会議を行った様子です。
また、7月の第1土曜日は船上会議と名うって小樽まで寿司を食べに行く等のイベントをしています。
ベッセルとは大きな船との意味があると冒頭述べましたが、小さいながら8m程のヨットを石狩に停泊しております。モーターボートと違いクルー皆で協力して操船します。
会社は一つのチームです。チームワークをよくすることがこの操船に生かされてこそ社会貢献できると思います。うまくいくときもあればなかなか前に進まない時もあります。しかし必ず小樽について旨い鮨を食べる時、達成感・一体感で皆の気持ちが一つになります。
秋には社員・パートとその家族皆で観楓会を開催し、子供たち含め全員にゲームで賞が当たる旅行を開催しています。10kgのお米をはじめその年の良い案件、考案等の社長賞をプレゼントし、士気を高めています。
個人の知識の向上に、色々なセミナーにどんどん参加し、勉学し人格形成にならなければ良き社会人にはなれません。大いに勉学してもらっています。仕事を従事する以上失敗はつきものです。失敗の責任は社長が取れば良いのです。失敗を恐れず前向きに向って前進してほしいものです。減点法は取りません。プラス思考で畜産業界、小動物業界、食品業界に貢献できるよう頑張ってまいりますので応援よろしくお願い申し上げます。
メインのメンバーです。どうぞお見かけの際は声掛け頂き情報提供させて頂ければ幸甚です。今後ともよろしくお願いいたします。
担当者:代表 梅原健治